FXは、18歳以上の方がFX口座を開設し入金するだけで誰でも始められるので、参入障壁はとても低いです。しかし、始めやすい反面、FXで長期間勝ち続けることは非常に難しいです。

FXは、今の価格より高くなると考えれば ”買い”トレード、今の価格より安くなると考えれば ”売り”トレード をするという、シンプルなものです。

相場は上がるか下がるか、それだけです。ですので、FXを始めたての人が、最初のトレードでいきなり大きな利益を出すこともあります。

しかし、FXで1年間プラス収支の人は3~4割で、5年勝ち続けられるのは1%以下と言われています。上がるか下がるかを考えるだけにも関わらず、ほとんどの人は勝ち続けることはできないのです。

なぜこのようなことになってしまうのか、それは多くの人が共通する失敗事例に陥ってしまうからです。

今回はその失敗事例で代表的なもの5つ、

・感情に任せたトレード
・スキャルピング
・ブレイクアウト買い、売り
・逆張り
・口座資金を無視したハイレバレッジのトレード

と、失敗事例に対しての解決策を解説していきます。

▼FXの失敗事例の5つ

・感情に任せたトレード

初心者で陥りがちなのは、買うか売るかを感情で判断してしまうことです。

相場は基本的にトレーダーに損をさせるために動いており、いきなりの上げや下げ、短い時間足のチャートでテクニカル分析を無視した値動きなど、ありとあらゆることで私たちを揺さぶってきます。

感情的になってしまった時点で、相場に飲み込まれる運命にあります。

相場に振り回され感情に任せたトレードを行なっていて、長期間FXで勝ち続けていることはできません。特にFXを初めて間もない内は、知らず知らずのうちに感情的になってしまうものです。

チャートを眺めていたら値動きが予想できるような気がして、短期で売買を繰り返すスキャルピングを開始。

長めの陽線が出たので飛び乗り買いをしたら上げた分をすべて下げて損切り、イライラしてたら相場が下げ始めたので、売りトレードで負けた分の倍のポジションを持ったら、すぐに戻して今度は買い方向に走り始めた…

多くのトレーダーは、これに近いことを一度は経験しているのではないでしょうか。

感情任せのトレードを繰り返すと、口座のお金はすぐになくなっていきます。相場に感情を支配されてはいけない、ということをまず理解しましょう。

・スキャルピング

先述の”感情に任せたトレード”の項でも触れましたが、短期売買を繰り返すスキャルピングは、スプレッドがあるため初心者に向いていません。

スプレッドとは、FXトレードにかかる手数料のようなものです。

FXでは、

・買いポジションを持った人は売って清算
・売りポジションを持った人は買い戻して清算

というように、ポジションを解消する際には必ず反対売買をしなければなりません。買い価格と売り価格の間には価格の開きがあり、それをスプレッドと呼びます。

スプレッドはFX会社側の手数料となります。その開きが大きいほど、私たちトレーダーは手数料を多く払うことになります。

よって、スキャルピングを行う場合は、取引回数分スプレッドの負担が増えることを理解する必要があります。

例えば、スプレッド2pipsで1日15回のトレードをする場合は、” 2pips × 15回= 30pips(0.3円) ” のコストがかかることになります。

スプレッド分30pipsを加味した上で、利益を残せる戦略を立てなければなりません。

スキャルピングはトレードの中でも最高難易度であり、勝っているのは上級者の中でもほんの一握りです。

トレードを初めて間もない方が気軽に手を出して、勝ち続けられるような方法ではありませんので、注意しましょう。

・ブレイクアウト買い、売り

https://www.yjfx.jp/event/digest/technical/20150519/

ブレイクアウト買い、売りはFXの取引手法の一つです。もみ合いになっているチャートの高値と安値に水平線を引き、高値線を超えたら買い方向、逆に安値線を下回ったら売り方向ついていくというシンプルな手法です。

ぱっと見でわかりやすいので、人気のある手法ですが、線を超えた方向についていくだけで勝ちを重ねられるほど、FXは単純ではありません。

ラインをブレイクすると高確率で元のもみ合いに戻ってきます。他の伸びる条件と合致すれば、抜けていくこともありますが、再びもみ合いに戻ってしまうことも多々あります。

もみ合いに戻ってしまった場合は、高値もしくは安値でつかんで含み損を抱えたポジションを保有し続けるか、損切りするしかなくなってしまいます。

筆者もFXを初めて間もない時は、ブレイクアウト手法のトレードを行なっておりましたが、勝率は著しく悪いものでした。ブレイクアウトを根拠とする手法を確立するには、

・どれくらいの期間もみ合いを続けてきたか
・抜けた方向に勢いがあるか
・損切り注文が溜まっているか

など、他の要素を考慮して総合的に判断する必要があります。


特に、初心者の頃は早くトレードをしたくて、根拠の薄いポイントでポジションを持ちがちです。安易なブレイクアウト買い、売りでは良い結果は得られませんので、きちんと手法として確立してから使いましょう。

・逆張り

逆張りとは、強い下げ相場の時に買いトレード、もしくは強い上げ相場の時に売りトレードをすることです。

ハマれば多くの利益をとれますが、トレードの基本は順張りであり、初心者はまず順張りの手法を確立していくべきです。

最高値・最安値をピンポイントで逆張りを決めるのは至難の技です。

初心者の時には自分独自の基準で、「値ごろ感」「割高感」を判断しがちです。

しかし、その「値ごろ感」「割高感」は自身の偏見によってできた産物であり、相場にとってはまったく関係ありません。

根拠がないところでの逆張りは、意図しない方向に伸び続けることがあるので非常に危険です。

特に強い値動き発生時は戻りが発生せずに進み続けるので、「逆張りに失敗した!」と思っても、増え続ける含み損を傍観するしかなくなることもあります。

どうしようもなくなって損切りしたら反発し始めて、そこがもっとも損するポイントだった、という相場にからかわているようなこともよくあります。

逆張りは、初心者にとって難易度が高いです。逆張りをする際には、値動きがきちんと止まったことを確認してから、トレードを行う必要があります。

・口座資金を無視したハイレバレッジのトレード

FXでは自分の資金以上のお金で、”レバレッジ”をかけてトレードすることができます。

レバレッジは国内FX会社で最大25倍、海外FX会社では最大1000倍まで使うことができます。ハイレバレッジの取引は得る利益も大きくなりますが、その反面損失も大きくなります。

数百倍のレバレッジで一攫千金を狙うトレードは、口座の破綻を早める代表的な失敗例であり、絶対に行ってはならないトレードです。

例えば、XMという日本で有名な海外FX取引会社の口座に10万円入れたとします。XMでは888倍までレバレッジをかけることができますので、たった10万円で最大8880万円のポジションを持つことができます。
口座に入っている実際の証拠金は10万円ですので、

・1ドル = 100円で、8000万円分(約80万通貨)

を持った場合には、損切りは

・▲12.5pips(▲0.125円)

となります。

この分だけ逆に動いたところでマイナス10万円に到達します。厳密に言うとスプレッド分があるので、11~12pips逆行しただけで口座の資金は強制ロスカットにかかります。

ゼロカットを採用していない会社では、口座資金以上の支払いを命じられるケースもあります。

ドル円は比較的値動きの少ない通貨ですが、それでも数分で10pips程度動くことはよくあります。
海外FX会社でのハイレバレッジ取引はギャンブルと変わりません。それもスプレッドがあるので、こちらに分が悪いギャンブルです。

FXで勝ち続けたいのであれば、口座の資金にあったポジション取りを心がける必要があります。

▼FXで失敗しないために

初心者がFXで致命的な失敗をしないためには、一つ一つの段階を踏んでいく必要があります。
段階とは下記、

①トレードの方法を理解する
②手法を確立し根拠のあるところで、エントリーする
③損切りポイントを決める
④ポジションサイズを決める
⑤検証を行い、デモトレードから実践しよう

です。それぞれ詳しく解説していきます。

①トレードの方法を理解する

FXトレードは、基本的には3つのトレードの方法しかありません。

・順張り
・逆張り
・ブレイクアウト買い、売り

です。

どんなトレードの場合でも、何の方法でエントリーしたかを説明できなければなりません。間違っても、”なんとなく上がりそうだから、下がりそうだから” と言う理由でのエントリーはNGです。
順張りであれば順張りエントリーの根拠が重なった時のみトレードを行う、という意識を持つことが、初心者の失敗を脱却する一歩です。

②手法を確立し根拠のあるところで、エントリーする

次に、「ではその根拠はどう見つけたらいいか」という疑問が出てくると思います。根拠を探す時は、テクニカル分析やチャートの形状を見て探しましょう。

テクニカル分析は、移動平均線、フィボナッチ、ボリンジャーバンド、RSI、を代表的な例として、他にも数多くあります。

たくさんあって、どれを使うか迷ってしまいそうですが、最初は、例に挙げたものから2、3個の理解を深めれば問題ありません。テクニカル分析は割安感・割高感、価格の反発可能性が高いポイント、を数値や視覚的に示してくれる便利なツールであり、FX取引には不可欠です。

チャートの形状は、急上昇、急落、ダブルトップ(ボトム)、トリプルトップ(ボトム)、フラッグ、ウェッジなどがあります。これらは次の値動きに移るタイミングで現れやすいものであり、テクニカル分析と同じくらい重要です。


FXでエントリーをする際には、テクニカル分析とチャートの形状を根拠を元に取引を行うべきです。根拠の薄いところでエントリーをして、運良く勝てることもありますが、長い目線での勝率は安定しません。

各テクニカル分析とチャート形状の意味を理解し、総合的に判断することが求められます。

③損切りポイントを決める

そして、いざエントリーをする際には、あらかじめ損切りポイントを決めておきましょう。損切りは意図する方向から逆行した場合に、自らの損失を認め、それ以上の損失を防ぐためにあります。

損切りは誰でも辛いものですが、損失を限定しておけば残った資金で再チャレンジができます。一回のトレードで損失を出しても、次のトレードで勝てばいいのです。

特に、初心者の段階では、相場から退場せず生き残っていくことが第一課題になります。手遅れにならないためにも、必ず損切りポイントは設定しておきましょう。

④ポジションサイズを決める

最後に、ポジションサイズも重要です。
初心者の失敗事例で紹介したように、口座の資金を考慮しないハイレバレッジのトレードは、ちょっとした逆行ですぐに資金を飛ばしてしまいます。

FXで安定的に利益を重ねたいのであれば、身の丈にあったトレードをしなければなりません。
具体的にはドル円の通貨ペアだと、

・10万円 = 1万通貨

が目安になります。レバレッジでいうと10倍前後です。最初のうちはこれよりも低くても良いと思います。小さくてもポジションを持って、自分の気持ちや感情がどう揺れ動くかを知ることも一つの勉強です。

一番よくないのが、身の丈に合わないオーバーサイズのポジションを持つことです。ギャンブルのようなトレードはおすすめできません。

⑤検証を行い、初心者はデモトレードから実践しよう

上記の段階を経て、ようやくトレード開始!といきたいところですが、まずは自分の確立した手法が、過去相場で使えるか確認をしましょう。

自分が苦労して考え抜いた手法であっても、相場で通用するかは別問題です。過去相場はFX会社が提供するチャートで見られますので、手法が相場で通用しているかを十分に確認しましょう。

また、各FX会社の取引システムの使い方にも慣れる必要があります。ロットの設定やエントリー方法に慣れていないと、致命的な操作ミスにつながる可能性がありますので、デモで触ってみることも大事です。

早く取引したい気持ちもあるかと思いますが、今後FX取引をしていく上で大切なプロセスですので、めんどくさがらずにこなすようにしてください。

以上、今回の記事では、初心者の”FXの失敗事例”の5つ

・感情に任せたトレード
・スキャルピング
・ブレイクアウト買い、売り
・逆張り
・口座資金を無視したハイレバレッジのトレード

と、FXで失敗しないために

①エントリーポイントの根拠を理解する
②手法を確立し根拠のあるところで、エントリーする
③損切りポイントを決める
④ポジションサイズを決める
⑤検証を行い、デモトレードから実践しよう

5つのステップを踏むべきことを解説してきました。

筆者もそうでしたが、トレードに淡い幻想を抱いて始める方は非常に多いです。モニターを見てパソコンを操作するだけで、大金を儲けるトレーダーに憧れる人もいるでしょう。

しかし、一発逆転のようなトレード手法で成功できる可能性は限りなく低いです。

FXの利益は地道な努力と正しい取引によって積み重なります。日々の検証と手法のブラッシュアップを重ねて、長く勝ち続けられるトレーダーを目指していきましょう!

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