FXを始めるにあたって必ず知っておくべきことが強制ロスカットです。
強制ロスカットがあることによって、FXでは借金を背負ってしまうリスクはありませんが、大きな損をしてしまう可能性もあります。
強制ロスカットの意味や、強制ロスカットがどのように起こるのか、ロスカット回避の4つの方法について詳しく解説していきます。
強制ロスカットとは?
強制ロスカットとは、保有している 全てのポジションが強制的に決済されて、損失が確定することです。
FX会社のシステムによって自動的に全てのポジションが強制的に決済され、 取引は終了となります。
強制ロスカットが行われた時点で自動的に損失は確定します。
例えば、1ドル=110円で米ドル/円の買いポジションを1万通貨保有している状況で、1ドル=100円まで相場下落した際に強制ロスカットが発動すると、(110円−100円)×1万通貨=10万円の損失が確定します。
「もう少し待てば相場が回復するかもしれない」という状況においても、強制ロスカットが発動するとポジションが強制的に決済されるので、ポジションを持ち続けることはできません。
強制ロスカットは投資家を守るための仕組み
強制ロスカットはなぜ行われるのでしょうか?
投資家の損失を確定させて、FX会社が儲けるために強制ロスカットは行われるわけではありません。
強制ロスカットは投資家を守るために行われます。
強制ロスカットがあるが故に投資家はFXによって借金を抱える心配がないと言えるでしょう。
相場変動時に証拠金以上の損失を負わないため
強制ロスカットが行われた時点で損失は確定しますが、それ以上の損失を背負うことはありません。
強制ロスカットがなければ、ポジションを保有し続けることによって、証拠金を超えるような損失を背負ってしまうリスクもあります。
強制ロスカットとは「これ以上の損失は負わない」というトレーダーにとっての最低防衛ラインということができます。
強制ロスカットがあるので追証で借金を背負う必要がない
強制ロスカットがなければ、トレーダーが気づかない間に損失が急拡大して、証拠金を超えるような損失になってしまうこともあります。
証拠金を超えるような損失を負ってしまった場合、不足分はFX業者へ借金となります。
これが一般的に「FXは怖い」と思われる大きな原因です。
今は、どのFX会社にも強制ロスカットがあるので、急激に相場が変動した時にも借金を背負ってしまうような心配はありません。
強制ロスカットはトレーダーを守るための防衛ラインです。
仮に相場変動時にFXを放置したとしても、一定範囲までの損失しか負わなくてよいようになっています。
強制ロスカットはいつ起こる?
強制ロスカットは損失がFX会社が定める一定金額以上に膨らんだ時に発動します。
具体的なロスカットラインはFX業者によって異なります。
ロスカットラインの低いFX業者と取引した方が損失が大きい時にもより長くポジションを保有し続けることができますが、損失も大きくなります。
主要FX業者のロスカットラインと証拠金維持率の計算方法について理解していきましょう。
証拠金維持率の計算方法
強制ロスカットはFXはFX業者が定めた証拠金維持率を下回った時に発動します。
まずは、証拠金維持率の計算方法について理解しておきましょう。
例えば、1ドル110円でドル/円買いポジションを1万通貨、レバレッジ25倍で保有する場合の必要証拠金は110円×1万通貨÷25=44,000円です。
口座に10万円入金している場合の証拠金維持率は、10万円÷44,000円×100=227.2%です。
証拠金維持率とは、必要証拠金に対して資産がどの程度あるのかを示す指標です。
証拠金維持率は含み益が出れば上昇し、含み損が出れば下落します。
1ドル105円へ下落した場合は(110円-105円)×1万通貨=50,000円の含み損になります。
そのため、証拠金維持率は(10万円-5万円)÷44,000円÷100=113.6%へと下落します。
強制ロスカットは含み損が一定範囲内まで拡大すると、「これ以上損失を拡大させないため」に発動します。
FX業者ごとのロスカットラインは?
強制ロスカットはFX業者が定めた証拠金維持率を下回ると発動します。
そしてロスカットの水準はFX業者によって異なります。
主要FX業者のロスカットラインは以下の通りです。
・SBI FXトレード:50%
・GMOクリック証券:50%
・DMM FX:50%
・ヒロセ通商:100%
・トレイダーズ証券:100%
・外為どっとコム:50~100%
・外為オンライン:20~100%
・XM:20%
・GEMFOREX:20%
・Tradeview:100%
・TitanFX:20%
強制ロスカットを防ぐ4つの方法
強制ロスカットを防ぐ方法は4つです。
・追加証拠金を入金する
・ポジションを持ちすぎない
・証拠金維持率は200%以上に
・レバレッジを低くする
ロスカットを防ぎ、損失拡大時にもポジションを長期保有するための4つの方法を詳しく解説していきます。
追加証拠金を入金する
含み損が拡大してきたら追加証拠金を入金することで、証拠金維持率を上げることができます。
例えば、10万円入金して1ドル110円、レバレッジ25倍で1万通貨ドル円の買いポジションを保有する場合の必要証拠金は、110円×1万通貨÷25=44,000円で、証拠金維持率は10万円÷44,000円×100=227.2%です。
1ドル105円に下落した場合の証拠金維持率は113.6%まで下がりますが、例えばここに3万円入金した場合には、(10万円−含み損5万円+追加証拠金3万円)÷必要証拠金4.4万円×100= 181.8%へと上昇します。
含み損の金額を確認しつつ、適宜、追加証拠金を入金することも重要です。
ポジションを持ちすぎない
証拠金に対してポジションを持ちすぎてはいけません。
入金額ギリギリまでポジションを持ってしまうと、少しの値動きで証拠金維持率は100%を切ってしまいます。
証拠金に対して余裕を持ってポジションを保有することによって、少しの含み損でロスカットラインに到達することはありませんので、入金額に対してポジションを持ちすぎないことが重要です。
証拠金維持率は200%以上に
証拠金維持率は常に200%以上をキープするように意識しましょう。
・ポジションを保有する時に200%以上になるようにする
・200%を切りそうになったら追加入金する
これら2点を普段から意識して、常に証拠金維持率が200%を超えている状態を継続してください。
証拠金維持率が200%以上あれば、急な相場変動があったとしても強制ロスカットになることを防ぐことができます。
レバレッジを低くする
レバレッジを低くすることも重要です。
レバレッジを高くすることによって少ない資金で多くの利益を狙うこともできますが、その分含み損も大きくなります。
値動きの激しい先進国の通貨ペアやポンドなどのポジションを持つ時には、レバレッジを低めに設定し、急な相場変動があった時に大きな含み損が出ないようにしておくことも重要です。
強制ロスカットはトレーダーを守るための仕組みで、損失が一定以上になると強制的にポジションを決済し、損失が確定します。
強制ロスカットによって損失は確定するものの、それ以上の損失を負うことはないので、トレーダーが借金を背負うことはありません。
まとめ
強制ロスカットを避けるには「高い証拠金維持率を維持する」「含み損を最小限に抑える」という2点が重要です。
ポジションを持ちすぎず200%以上の証拠金維持率をキープし、含み損を抑えるためにレバレッジを高くしすぎないようにしましょう。