【第2回】行動ファイナンス
〜取引に働く人間の本能〜
- 人は一般的に合理的には行動できない!
- 「プロスペクト理論」ってなに?
- なぜ負けるか、をしっかり理解しよう!
合理的に投資できない理由
FXなどの投資において勝ち組になるための思考には、確率的思考や損失を許容する能力、より広い視点での状況把握が必要になります。
一般的に総じてメンタルと呼ばれている部分のことです。
人間のメンタルにおいて、同じ金額を儲けたときと損したときでは損したときの方がショックが大きくなるといった本能的な思考があります。
これを「プロスペクト理論」と言います。
このプロスペクト理論を理解することで、なぜ人間が相場の世界で負けてしまうのかを理論的に分かるようになります。
人間の本能を把握しておくことで、どのようにして向き合っていくかによって勝ち組になれるかが分かってきます。
詳しい説明を見てみましょう。
プロスペクト理論とは?
このプロスペクト理論の主題は「同じ額や量の利益と損失を感じたときに、人間は損失の方が大きく感じる」といった本能的な部分を指摘しています。
投資では金額面での話になるので、同じ額でも損失を出した時のほうが大きい様に感じやすく、結果的に苦痛を避けるために損切りすることが出来ないことが挙げられます。
また、人は「損失時には危険を取りやすい」という傾向があります。
損失という状態を嫌うため、リスクを取ってでもその状態から脱却したいと思うのです。
人間の本能であり、生きていくにはリスクを許容するのも必要なスキルではあります。
しかし、相場で取引する時においてはこの本能的な思考が大きなリスクとなることもあるのです。
お金がもらえるとしたら?
- 80%の確率で100万円が手に入り、20%の確率で1円も手に入らない。
- 20%の確率で400万円が手に入り、80%の確率で1円も手に入らない。
の二つの選択肢が与えられたと考えて下さい。
借金が減るとしたら?
- 100%の確率で借金が50万円減額される。
- 70%の確率で借金が免除されるが、30%の確率で借金が2倍になる。
の選択肢が与えられたと考えて下さい。
①、②でそれぞれあなたはどちらを選びますか?
①に関してはプロスペクト理論に基づくと、基本的にAを選ぶ人が多いです。
理由としては目先の確実な利益を優先して、不確実な損失を過少評価して先延ばしにしてしまう考えが働くからです。
②に関しても、同じ理由で合理的だと考えてAを選択する人が多かったかと思います。
果たしてAを選ぶことが本当に合理的な選択と言えるのでしょうか?
ちなみに合理的な計算の上での解答は①はどちらでもよい、②はAを選ぶのが正解です。
期待値を考えてプロスペクト理論を攻略
確率的に物事を考えることで、合理的に判断しようとするときに期待値という考え方があります。
イメージとしては「ギャンブルでお金をかけたときに、勝った場合と負けた場合でいくらぐらいの収益になるのか」を確率と金額で考えてみるといったものです。
先ほどの問題でそれぞれの取引でいくらの期待できる収益があるのかを計算してみます。
①Aでは80%で100万が手に入り、20%で0円。この取引の収益を期待値で表すと、
100万円 × 80% + 0万円 × 20% = 80万円
Bも同様に、
400万円 × 20% + 0万円 × 80% = 80万円
になります。
②Aでは100%の確率で50万円減額されるので、期待できる収益は
50万円 × 100% = 50万円
Bも同様に
100万円 × 70% + -100万円 × 30% = 40万円
になります。
確率に基づいた計算の上では①ではもらえる見込みの額は同じであるが、②だとAを選ばなければ10万円ほど損をする選択をしているという結果が分かります。
なぜ②ではBを選んではいけないの?
確かに一見すると、70%を引ければ100万円の免除なので感覚的にはハイリターンな気がします。
ですが、30%をもし引いてしまった場合に-100万円の損失を被ることになるので、一回あたりの貰える額としては確率的には40万円を貰っているのと同じ結果になります。
これは相場の世界でも同じです。
利益が出ているときには焦って利確を行うのに、損切りをするときには先延ばしにして損を拡大させてしまう傾向があるのです。
このような心理状態で取引を繰り返していると、コツコツ貯めた利益を一回のミスで大きく減少させてしまうことに繋がってしまいます。
勝ち組になっている人たちは、プロスペクト理論をよく理解しているので利確や損切りをしっかり行っているのです。
もちろんなんとなくで利確や損切りを行っている人は勝ち組と呼ばれる人の中にはいません。
「いくらのあたりまで来たら損切りしよう」、「いくらまで来たら一旦利確しよう」などとチャートから得られる根拠を持って取引を行っています。
FXでは勝率が大事なのではなく、利益の伸ばせるポジションを伸ばして損が膨らみそうなところを最小限に抑えて損切りすることで勝ち残れる確率は非常に高くなります。
勝率をさらに上げる選択をするよりは、損切りよりも利確の幅を大きくすることの方が大切であることが分かります。
まとめ
ランダム性の高い相場の世界においては、勝率は50%あれば上出来と言われるぐらいのものです。
プロスペクト理論は分かったけど、実践になると損切りを行うのが難しくてついつい利確も早めに行ってしまう、といったかたにはリアル口座ではなく、デモトレードでの取引で練習しなおしましょう!
利確をするときには、出来るだけ利幅を伸ばしましょう。
逆に利益を伸ばすのに限界が見えるのであれば損切りを短くするための考慮をする必要があります。
一見矛盾したことを言っているとも取れますが、意図するところは失敗した際には損切りの幅、成功したときには利確の幅をある程度決めた上でエントリーすることが必要だといった認識でいて下さい。
常に人には冷静な判断、合理的な判断を下すことは本能的に非常に難しい事です。
勝ち組思考を理解して取引していきましょう!
お金に対する人間心理を克服できれば、大きな収入を得る可能性が見えてきます。